"君の映画 大好きだぞ"『映画大好きポンポさん』ネタバレ感想&考察
「ポンポさんをみったぞー!」
というわけで、ご無沙汰しております……マナです。。
まず、ブログの更新が途絶えてしまったことをお詫びさせてください……。。
案の定Twitterでは元気にしておりました。妄想を垂れ流したり感想をツリーで繋げて連投したり……、
…………。
………………………。
いやそれ、ブログがあるのになんでブログでやらないの!!?という話!
えっーと……そのぉ……
なんか……言い訳っぽくなってしまいそうなのですが、ブログに映画の感想や長文を書こうとすると「どうしても形や体裁を整えなきゃ」「真面目に記事として面白いものを作らなきゃ」、と思ってしまうんですよねえ……。。
…………。
………………………。
うるせ〜〜!!知らね〜〜!!
Twitterでの自分をご存知の方は何となく察していただけると思うのですが、マナは感情のまま文を書き殴るタイプの人間です。でもそれが1番伝えたいことが伝わる気がするのです……。
というわけで(2回目)、前置きはこれくらいにして。
先日、Eテレにて『映画大好きポンポさん』がTV地上波で初放送されました。
https://pompo-the-cinephile.com/#story
敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。
……といった内容なのですが、これはもう言葉で語るものじゃない、映像で殴ってくる作品です。なので百聞は一見にしかず。まだ未見の方はぜひ!本編をご覧いただいてから感想の方も見ていただけると幸いです。
※以下、本編のネタバレを含みます!
個人的・キャラクター分析
録画しておいたのをまず1回観て、その直後流れるように2回目を観たのですが……うん "良い"ですね 凄く良かったです。
最初のオープニング、ニャカデミー賞授賞式なんですね……? キャラ紹介OPもオマージュめいてて分かりやすいですね。
何度も会話や要素がリフレインされているの、シンプルに上手い~~。
さて、まずはメインキャラ6人について筆者が感じたことを綴ってみます。
①今作の主人公とも言える新人監督・ジーン。
彼は映画をこよなく愛する青年であり、時間があればどこまでも自分のこだわりを突き通すタイプです。
「売り上げとかスタッフの生活とかどうでもいいっっっ!ちょー楽しい!」
「現実から逃げた人間は心の中に自分の世界を作る。その世界の広さがそのまま創作のポテンシャルになる」
これらは作中でも印象的なセリフですが、実は筆者(マナ)もクリエイター……というにはまだまだ未熟者ですが、とにかくモノづくりをしている者なんです。なので、とても気持ちが分かってしまって。
そう!何かを作ってる時ってそれ以外全部なんかどーでも良くなってくるんですよね!
現実とか周りとか生活とかど〜でもいい!この作品が作れたらそれでいい!!!!!命なんか削ってやる〜〜っ!!
…………みたいな。。
自分でもかなりジーン寄りの人間だなあ、と思って観ていました。そう、私も社会不適合な目をしています 多分……。
閑話休題。
②敏腕映画プロデューサー・ポンポさん。彼女は現実的な目線とモノづくりを続ける人の視線を併せ持った存在。そんな人がいるからこそ、ジーンは現実の中で想像を追い求めることが出来ます。
筆者はポンポさんがもうちょっと意地悪というか、お茶目なキャラクターだと思っていたのですが……想像よりずっと真面目で、作品やスタッフ思いな方だなとなりました。プロ意識がすごい。
特に後半のジーンへのお説教シーンの声音の冷たさ。色んなことを経験してきて、映画を観て、作ってきて、彼女の中にはきっとたくさんの学びや考えが渦巻いているのだと思う。
それはまさしく製作者としての意地やプライド、持っておくべき常識や感性。
それらを説明でなく言わされているのでなく、言うべき時に言うようにしている。
今作に出てくる全ての人が、「良い映画を作る」という目的に対して激しい熱意と執着を抱いている。それはまさに「夢と狂気の王国」なんです。
「映画を撮るか 死ぬか どっちかしかないんだ」
③そして、夢を追いかける新人女優・ナタリー。
彼女は夢のためにひたすらに努力してきた、努力する才能を持った存在。そんな人がいることで、ジーンは輝きと煌めきに惹かれて自分の中の情熱を呼び起こされます。
(リリー初登場シーン好き。当て書きってその俳優さんを想定して書くという… 輝きや煌めきってことですよね。)
あと……彼女が主役に抜擢された時ですね、本当に嬉しそうなの大好き~~っなんですよ!彼女は走り続けているんです。頑張ってきた過去のためにも、頑張ることのできる未来のためにも。
さて、以上ジーン、ポンポさん、ナタリーの三名を見てきましたが、彼らは比較的裏表が無いキャラクター……のように思えますね。(それぞれ夢や作りたいものに対して純粋な野心を燃やしてはいるけれど)
ここで、これは本当に思った!ということを一つ。
『ポンポさん』に限った話ではないのですが、今作はとりわけ外見や第一印象と本心や本性のギャップを狙ったキャラ造形をしてますよね、という話。
たとえば、マーティンは第一印象がゴツいし怖いし軽く見える方です。
だけど本当はポンポさんに寂しがり屋という評価がされていたり、みんなどんどん意見出してこう!といったフレンドリーな感じが描写されています。
ミスティアはぽわぽわしてて浮世離れした美しい人、というイメージ。
しかし後半のあるシーンで恐ろしく鋭い目線を見せるし、ジーンナタリーと共演したい、ただ主役は自分が喰うという野心も見せる。ゾクっとした。正直好きです。(せ〜へき)
ナタリーちゃんとミスティアさんの同棲生活について詳しk
そして、アラン。
彼が一番分かりやすいですよね。
金髪にスーツに銀行勤め。(ハイスクール時代の)彼からすれば、卑屈でオドオドしてて"社会不適合者"なジーンは「下ばっかり見てて前を向いてない陰気なやつ」だっただろう。
でも社会人になり、いざ現実と向き合うと何も持っていない自分に気づいた。そしてジーンが、「ずっと前だけ見てた」ことにも気づいた。そうやって気づけたことがまず、本当に凄いですよね。
多分アランも最初は"社会不適合者"の光の無い目をしていた。それが終盤にかけて光を宿していくんです。未来に期待して夢追い人を応援する。彼にしか出来ないやり方で。
(……書いていて気づいたことですが、この作品「視線」や「瞳」の描写を大切にしていますね。)
言葉でなく、映像で
さて、最初の方に「これはもう言葉で語るものじゃない」と言及したと思うのですが、これは映画そのものだけでなく……内容に関しても、まさにそうなんです。
自分に重ねる、映画の中に自分を見つける。
その時初めて、映画は自分のものとして再び蘇る。
この映画は言葉にし難い思いや観点を言い切ってるのが凄いなって。
「自分の映画で、自分を救う。」
これはあの日の僕に向けた映画であり、その映画で僕以外の人も救われるのかもしれない。重ねてくれる人が、映画を信じて観にきた人が、いるのかもしれない。
夢を叶えるために、切り捨てたものがあります。未来に夢を見ることは簡単だが、相当な覚悟と勇気が無ければ、それを叶えることはできないものが。
「その映画を一番観てもらいたい人のために作る」
でもきっと究極的には「一番観てもらいたい人」って「自分」なんですよね。自分が観たいから作るんです。(もちろん一番観てもらいたい人がいるというのも、素敵なことですけどね)
一つを手放さないためにそれ以外を切ること
何かを残すためにそれ以外を犠牲にすること
「これが無くても成立する」と選択すること
そして 何よりも大切なのは、そんな自分を信じることであり、そんな自分を信じてくれる人がいること …………なんだと思います。
もちろんワガママで自分勝手でも構わない、でも自分だけでなく他の人のワガママや自分勝手も受け入れること。それが良いものを作っていくためには、必要なことなんですね。
とどのつまり。自分のために映画を作る人が集まれば、それはより大きな想いの束となって観客に、そして自分に突き刺さるのではないでしょうか。
アニメーションという狂気
さてさて、今作に関しては カットの繋ぎ方、カメラワークや演出が「映画」「撮影術」の見本誌かっ!ってくらい豊富ですよね。(この作品だけでかなりの数の撮影術について学べるね!と思いました)
それに加えてアニメーションならではのエフェクトとか線の動きとかめっちゃ入れてるじゃないですか。
実写映画のセオリーとアニメーションの「嘘を現実らしく見せる力」のいいとこ取りをしてる作品、こんなにこの作品を描くのに適切な媒体は無いんじゃないでしょうか……。。
そう、ポンポさんは実写映画制作の話だけど、アニメーションで描いたことに多大なる意味がある……と、筆者は考えております。
(何度も言うように、筆者(マナ)はモノづくりを学んでいる途中の未熟者でして、そんな私が偉そうなこと言って申し訳ないのですが…)
アニメーションとは、一つのために全てを削ぎ落とすものです。夢を叶えるために、それ以外を切り捨てるのと同じように。
(と、自分も思い知った経験があるのです)
それでいて実写映画と違うのは、「アニメーションとは、描かれたものしかその姿を見せないもの」だということです。描いたものしか見ることができない、一どころかゼロから生まれるものだということです。
俳優の輝きや煌めきからでなく、今このゼロ位置にいる自分が吸収してきたもの全てから生まれるものです。
そう思うと、尚更削ぎ落とすのは胸が痛む。せっかく描いたのに! せっかくこの手を動かして作り出したものなのに!!
だけどだからこそ、「アニメーションは想像を映像として現実化できてしまう」んですね。
とんでもないことに、夢と狂気の世界をそっくりそのまま出力できてしまうのです。創作の恐ろしさとか、怖さとか、それ以上の熱さとか、執着とかを。
(もちろん、その前提としてある程度の技術や知識は必要になりますが)
実写映画にできて、アニメーションにできないこともあります。 逆にアニメーションにできて、実写映画にできないこともあるでしょう。
しかしその二つに共通するもの ひいては人生において大切なことは、「自分を信じて選択し続けること」なんですよね。
Q.「最後に、この映画の一番良かったところはどこですか?」
A. 「……上映時間が(大体)90分ってところですね」(ニチャァ…)
ここまで読んでくださった方…いる?いるのかな?
とにかく、ありがとうございました〜!
"君の映画 大好きだぞ"
※画像に関しては、『映画大好きポンポさん』公式twitter及び予告編のものを使わせていただきました。