Sing a Bit of H@ppy!!!

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作品長文語りオタクの書き散らし

"君の映画 大好きだぞ"『映画大好きポンポさん』ネタバレ感想&考察

 

 

「ポンポさんをみったぞー!

 

 

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というわけで、ご無沙汰しております……マナです。。

まず、ブログの更新が途絶えてしまったことをお詫びさせてください……。。

案の定Twitterでは元気にしておりました。妄想を垂れ流したり感想をツリーで繋げて連投したり……、

 

…………。

 

………………………。

 

 

いやそれ、ブログがあるのになんでブログでやらないの!!?という話!

 

えっーと……そのぉ……

なんか……言い訳っぽくなってしまいそうなのですが、ブログに映画の感想や長文を書こうとすると「どうしても形や体裁を整えなきゃ」「真面目に記事として面白いものを作らなきゃ」、と思ってしまうんですよねえ……。。

 

…………。

 

………………………。

 

 

うるせ〜〜!!知らね〜〜!!

 

 

Twitterでの自分をご存知の方は何となく察していただけると思うのですが、マナは感情のまま文を書き殴るタイプの人間です。でもそれが1番伝えたいことが伝わる気がするのです……。

 

というわけで(2回目)、前置きはこれくらいにして。

先日、Eテレにて『映画大好きポンポさん』がTV地上波で初放送されました。

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https://pompo-the-cinephile.com/#story

敏腕映画プロデューサー・ポンポさんのもとで製作アシスタントをしているジーン。映画に心を奪われた彼は、観た映画をすべて記憶している映画通だ。映画を撮ることにも憧れていたが、自分には無理だと卑屈になる毎日。だが、ポンポさんに15秒CMの制作を任され、映画づくりに没頭する楽しさを知るのだった。 ある日、ジーンはポンポさんから次に制作する映画『MEISTER』の脚本を渡される。伝説の俳優の復帰作にして、頭がしびれるほど興奮する内容。大ヒットを確信するが……なんと、監督に指名されたのはCMが評価されたジーンだった! ポンポさんの目利きにかなった新人女優をヒロインに迎え、波瀾万丈の撮影が始まろうとしていた。

……といった内容なのですが、これはもう言葉で語るものじゃない、映像で殴ってくる作品です。なので百聞は一見にしかず。まだ未見の方はぜひ!本編をご覧いただいてから感想の方も見ていただけると幸いです。

 

※以下、本編のネタバレを含みます!

 

個人的・キャラクター分析

録画しておいたのをまず1回観て、その直後流れるように2回目を観たのですが……うん "良い"ですね 凄く良かったです。

最初のオープニング、ニャカデミー賞授賞式なんですね……? キャラ紹介OPもオマージュめいてて分かりやすいですね。
何度も会話や要素がリフレインされているの、シンプルに上手い~~。

 

さて、まずはメインキャラ6人について筆者が感じたことを綴ってみます。

 

①今作の主人公とも言える新人監督・ジー

彼は映画をこよなく愛する青年であり、時間があればどこまでも自分のこだわりを突き通すタイプです。

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「売り上げとかスタッフの生活とかどうでもいいっっっ!ちょー楽しい!」

「現実から逃げた人間は心の中に自分の世界を作る。その世界の広さがそのまま創作のポテンシャルになる」

これらは作中でも印象的なセリフですが、実は筆者(マナ)もクリエイター……というにはまだまだ未熟者ですが、とにかくモノづくりをしている者なんです。なので、とても気持ちが分かってしまって。

そう!何かを作ってる時ってそれ以外全部なんかどーでも良くなってくるんですよね!

現実とか周りとか生活とかど〜でもいい!この作品が作れたらそれでいい!!!!!命なんか削ってやる〜〜っ!!

 

…………みたいな。。

自分でもかなりジーン寄りの人間だなあ、と思って観ていました。そう、私も社会不適合な目をしています 多分……。

 

閑話休題

 

②敏腕映画プロデューサー・ポンポさん。彼女は現実的な目線とモノづくりを続ける人の視線を併せ持った存在。そんな人がいるからこそ、ジーンは現実の中で想像を追い求めることが出来ます。

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筆者はポンポさんがもうちょっと意地悪というか、お茶目なキャラクターだと思っていたのですが……想像よりずっと真面目で、作品やスタッフ思いな方だなとなりました。プロ意識がすごい

特に後半のジーンへのお説教シーンの声音の冷たさ。色んなことを経験してきて、映画を観て、作ってきて、彼女の中にはきっとたくさんの学びや考えが渦巻いているのだと思う。
それはまさしく製作者としての意地やプライド、持っておくべき常識や感性。

それらを説明でなく言わされているのでなく、言うべき時に言うようにしている。

 

今作に出てくる全ての人が、「良い映画を作る」という目的に対して激しい熱意と執着を抱いている。それはまさに夢と狂気の王国なんです。

「映画を撮るか 死ぬか どっちかしかないんだ」

 

③そして、夢を追いかける新人女優・ナタリー

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彼女は夢のためにひたすらに努力してきた、努力する才能を持った存在。そんな人がいることで、ジーンは輝きと煌めきに惹かれて自分の中の情熱を呼び起こされます。

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(リリー初登場シーン好き。当て書きってその俳優さんを想定して書くという… 輝きや煌めきってことですよね。)

あと……彼女が主役に抜擢された時ですね、本当に嬉しそうなの大好き~~っなんですよ!彼女は走り続けているんです。頑張ってきた過去のためにも、頑張ることのできる未来のためにも。

 

さて、以上ジーン、ポンポさん、ナタリーの三名を見てきましたが、彼らは比較的裏表が無いキャラクター……のように思えますね。(それぞれ夢や作りたいものに対して純粋な野心を燃やしてはいるけれど)

 

ここで、これは本当に思った!ということを一つ。

『ポンポさん』に限った話ではないのですが、今作はとりわけ外見や第一印象と本心や本性のギャップを狙ったキャラ造形をしてますよね、という話。

たとえば、マーティンは第一印象がゴツいし怖いし軽く見える方です。

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だけど本当はポンポさんに寂しがり屋という評価がされていたり、みんなどんどん意見出してこう!といったフレンドリーな感じが描写されています。

 

ミスティアはぽわぽわしてて浮世離れした美しい人、というイメージ。f:id:manatee_iroiro:20230302120738j:image

しかし後半のあるシーンで恐ろしく鋭い目線を見せるし、ジーンナタリーと共演したい、ただ主役は自分が喰うという野心も見せる。ゾクっとした。正直好きです。(せ〜へき)

ナタリーちゃんとミスティアさんの同棲生活について詳しk

 

そして、アラン
彼が一番分かりやすいですよね。

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金髪にスーツに銀行勤め。(ハイスクール時代の)彼からすれば、卑屈でオドオドしてて"社会不適合者"なジーンは「下ばっかり見てて前を向いてない陰気なやつ」だっただろう。

でも社会人になり、いざ現実と向き合うと何も持っていない自分に気づいた。そしてジーンが、「ずっと前だけ見てた」ことにも気づいた。そうやって気づけたことがまず、本当に凄いですよね。

多分アランも最初は"社会不適合者"の光の無い目をしていた。それが終盤にかけて光を宿していくんです。未来に期待して夢追い人を応援する。彼にしか出来ないやり方で。

 

(……書いていて気づいたことですが、この作品「視線」や「瞳」の描写を大切にしていますね。)

 

 

言葉でなく、映像で

さて、最初の方に「これはもう言葉で語るものじゃない」と言及したと思うのですが、これは映画そのものだけでなく……内容に関しても、まさにそうなんです。

 

自分に重ねる、映画の中に自分を見つける。
その時初めて、映画は自分のものとして再び蘇る。

この映画は言葉にし難い思いや観点を言い切ってるのが凄いなって。

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「自分の映画で、自分を救う。」
これはあの日の僕に向けた映画であり、その映画で僕以外の人も救われるのかもしれない。重ねてくれる人が、映画を信じて観にきた人が、いるのかもしれない。

夢を叶えるために、切り捨てたものがあります。未来に夢を見ることは簡単だが、相当な覚悟と勇気が無ければ、それを叶えることはできないものが。

 

「その映画を一番観てもらいたい人のために作る」

でもきっと究極的には「一番観てもらいたい人」って「自分」なんですよね。自分が観たいから作るんです。(もちろん一番観てもらいたい人がいるというのも、素敵なことですけどね)

 

一つを手放さないためにそれ以外を切ること
何かを残すためにそれ以外を犠牲にすること
「これが無くても成立する」と選択すること

 

そして 何よりも大切なのは、そんな自分を信じることであり、そんな自分を信じてくれる人がいること …………なんだと思います。

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もちろんワガママで自分勝手でも構わない、でも自分だけでなく他の人のワガママや自分勝手も受け入れること。それが良いものを作っていくためには、必要なことなんですね。

とどのつまり。自分のために映画を作る人が集まれば、それはより大きな想いの束となって観客に、そして自分に突き刺さるのではないでしょうか。

 

 

アニメーションという狂気

さてさて、今作に関しては カットの繋ぎ方、カメラワークや演出が「映画」「撮影術」の見本誌かっ!ってくらい豊富ですよね。(この作品だけでかなりの数の撮影術について学べるね!と思いました)


それに加えてアニメーションならではのエフェクトとか線の動きとかめっちゃ入れてるじゃないですか。

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実写映画のセオリーとアニメーションの「嘘を現実らしく見せる力」のいいとこ取りをしてる作品、こんなにこの作品を描くのに適切な媒体は無いんじゃないでしょうか……。。

 

そう、ポンポさんは実写映画制作の話だけど、アニメーションで描いたことに多大なる意味がある……と、筆者は考えております。

(何度も言うように、筆者(マナ)はモノづくりを学んでいる途中の未熟者でして、そんな私が偉そうなこと言って申し訳ないのですが…)

アニメーションとは、一つのために全てを削ぎ落とすものです。夢を叶えるために、それ以外を切り捨てるのと同じように。

(と、自分も思い知った経験があるのです)

 

それでいて実写映画と違うのは、「アニメーションとは、描かれたものしかその姿を見せないもの」だということです。描いたものしか見ることができない、一どころかゼロから生まれるものだということです。

俳優の輝きや煌めきからでなく、今このゼロ位置にいる自分が吸収してきたもの全てから生まれるものです。


そう思うと、尚更削ぎ落とすのは胸が痛む。せっかく描いたのに! せっかくこの手を動かして作り出したものなのに!!

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だけどだからこそ、「アニメーションは想像を映像として現実化できてしまう」んですね。

とんでもないことに、夢と狂気の世界をそっくりそのまま出力できてしまうのです。創作の恐ろしさとか、怖さとか、それ以上の熱さとか、執着とかを。
(もちろん、その前提としてある程度の技術や知識は必要になりますが)

 

実写映画にできて、アニメーションにできないこともあります。 逆にアニメーションにできて、実写映画にできないこともあるでしょう。

しかしその二つに共通するもの ひいては人生において大切なことは、「自分を信じて選択し続けること」なんですよね。

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Q.「最後に、この映画の一番良かったところはどこですか?」

A. 「……上映時間が(大体)90分ってところですね」(ニチャァ…)

 

 

 

ここまで読んでくださった方…いる?いるのかな?

とにかく、ありがとうございました〜!

 

 

"君の映画 大好きだぞ"

 

 

 

 

 

※画像に関しては、『映画大好きポンポさん』公式twitter及び予告編のものを使わせていただきました。

"みんな! いま、幸せ?"『アイの歌声を聴かせて』感想&レビュー

 

突然ですが、あなたは今幸せですか?

 

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私は幸せです。なぜなら、『アイの歌声を聴かせて』を観たからです。

絶賛口コミ御礼!映画『アイの歌声を聴かせて』ロングPV|絶賛上映中 - YouTube

「何言ってんだこの人」と思われるかもしれませんが、ざっくり言うと『アイの歌声を聴かせて』はそんな映画です。観た人を幸せにしてしまう、本当に素晴らしい作品です。現在(2022/02/06)も一部映画館で上映しています。

 

この記事では割と真面目に感想&レビューを書いていきたいと思います。ネタバレはないので、まだ観てない方や観るか迷っている方も安心です。もちろん、もう何度も観た!という方も一アイうたファンの感想を読んでいただけたら嬉しいです。

 

 

 

そもそも『アイうた』ってどんな作品?

…と言いつつも、「『アイの歌声を聴かせて』って何?」という方や「最近Twitterとかで見るけど、いまいち内容は分からない」という方がいるかも知れないので軽く解説をします。といっても公式からの引用です。

ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルムが誕生!監督は「イヴの時間」、『サカサマのパテマ』などで海外からも注目を集め、アニメーションの新たな可能性を切り拓いている吉浦康裕。自身が得意とする「AI」と「人間」の関係というテーマを、高校生の少年少女たちが織りなす瑞々しい群像劇という形で描写し、圧倒的なエンターテインメントフィルムとして仕上げている。

https://ainouta.jp/introduction.html

 

個人的には「AI」×「群像劇」×「ミュージカル」=『アイうた』というイメージです。

 

景部高等学校に転入してきた謎の美少女、シオン(cv土屋太鳳)は抜群の運動神経と天真爛漫な性格で学校の人気者になるが…実は試験中の【AI】だった!
シオンはクラスでいつもひとりぼっちのサトミ(cv福原遥)の前で突然歌い出し、思いもよらない方法でサトミの“幸せ”を叶えようとする。

彼女がAIであることを知ってしまったサトミと、幼馴染で機械マニアのトウマ(cv工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(cv興津和幸)、気の強いアヤ(cv小松未可子)、柔道部員のサンダー(cv日野聡)たちは、シオンに振り回されながらも、ひたむきな姿とその歌声に心動かされていく。

しかしシオンがサトミのためにとったある行動をきっかけに、大騒動に巻き込まれてしまう――。

 

どうですか? この時点でもう面白そうじゃないですか??いや別に、と思ったそこのあなた。実は私もそうでした。正確には「確かにちょっと面白そうだけど、観に行くほどかなみたいな感じに思っていました。しかし、昨年12月に行ったのです。映画館へ。

アイうたは昨年1029日に封切りされたのですが、12月の時点で既に上映館が数えるほどしかありませんでした。「このままだと行かずに終わる!」と一念発起し、観に行ったという訳です。(ちなみに本ブログ執筆中の2022/02/05でめでたく公開100日目を迎えました。嬉しい。めでたい。)

結果、見事にアイうたファンが出来上がりました。

 

 

まず、音でやられる。

『歌』をテーマとしているだけあって、土屋太鳳さん演じるシオンの歌声がとても良いのです。否応にもその世界に引き込まれてしまいます。

 

『ユー・ニード・ア・フレンド 〜あなたには友達が要る〜』では物語の始まりを告げるような爽やかな歌声を、

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『Umbrella』では全てを包み込むような優しい歌声を、

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『Lead Your Partner』ではビッグバンドに合わせて力強く芯のある歌声を、

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『You've Got Friends 〜あなたには友達がいる〜』では美しい花火をバックに多幸感溢れる歌声を聴くことができます。(上のPVの後半の曲です)

とにかくもうこの"歌"のパワーが凄いのです。曲調もそれぞれの場面によく合っていて、サントラ購入確定レベルで良いのです。

でも、ミュージカルというと「急に歌い出すのにビックリする」「何だか聞いてて恥ずかしい」と思う人もいますよね。私もそうです。(2回目)しかし、アイうたにはちゃんと『歌う動機』『音楽が流れる理屈』があるのです。これって凄くないですか??

 

 

AIという存在を活かした演出

主人公であるシオンは"ポンコツAI"であるとイントロダクションで紹介されています。それもそのはず、彼女は人前で急に歌い出してしまうのです。彼女が景部高校に転校してきたのはそれが『AIが人間と共存できるか』確かめるためのテストだからです。このテストの間(5日間)シオンはAIだと知られてはいけないのですが、それでもなぜかサトミを幸せにしようとするのです。まるでテストよりもそっちの方が大事だと言うかのように。

その理由はなぜなのか。シオンはなぜ歌うのか。それはキャッチコピーのポンコツAI、約束のうたを届けます。』や予告編にもある『秘密はね、最後に明かされるんだよ』に繋がるのですが、ここはぜひ本編を観て欲しいということで秘密にしておきましょう。

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ところで、舞台となる景部市(ひいては景部高校でも)ではホシマエレクトロニクスという企業によって、AIの実地試験が行われています。例えば、昭和の日本家屋のように見える天野家(サトミの自宅)ですが、実は高度に電子化されていたり…と。(ちなみに最初にこの世界観を解説するファクターにもなってますね)

つまり、AIをはじめとしたテクノロジーがいたるところで使われており…これが一つの鍵となるのです。

そしてシオンもAIということで、簡単に言うと街中や高校にあるAIと『協働』することができるんですね。これでスピーカーを動かしたり、照明を点灯させて雰囲気を出したりすることが可能なんです。

そういった裏側やストーリーで『AI』という存在を存分に活かしており、考えれば考えるほど精密に構成された世界観に感嘆してしまいます…。(つい何度も観たくなってしまいます!)

他にも、作品に出てくるお掃除ロボットや農作業ロボットなどの造形も可愛らしく、見ているだけでワクワクしてしまいます。また、それでいて機械的な動きが丁寧に追われているところが良いのです。(『AIと共存する未来』が丁寧に描かれているのです!)

 

 

爽やかな青春群像劇

もちろん、ストーリーやキャラクターも魅力的です。漫画家の紀伊カンナ先生がキャラクターデザインを務めており、それぞれの個性や性格がよく表れていて素敵なのです。(ついファンアートを描きたくなってしまうくらい!) そしてシオンが可愛い。(重要)

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キャラクター&キャスト|映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト|2021.10.29 ROADSHOW

サトミをはじめとした皆は、それぞれ色々な悩みを抱えています。それで時には対立し、後悔し、一歩を踏み出せずにいました。最初はほとんど関わりがなかったはずの5人が、シオンの『歌』を通して自分や人に向き合い、絆を深めていく姿がまさに青春!なのです!

 

また、一人一人ちゃんとバッググラウンドや性格が設定されていて、かつそれを作品の中で上手く見せているのも素晴らしいんですね。例えば、序盤のシーン。サトミが誤作動を起こしているお掃除ロボットを助けるという場面があるのですが、ここで語られている要素は三つ。

  • サトミがAIに対して『対等』に接していること
  • サトミの優しさや真面目な性格
  • 『AIを緊急停止することが出来る』という設定

この一つのシーンだけでいくつもの要素を観客に説明しているんです。本当によく練られた脚本だと思います。

 

自分の悩みや弱い部分を打ち明けあい、乗り越えた後に歌われる『You've Got Friends 〜あなたには友達がいる〜』はまるで全ての人たちに向けての祝福のようで、あるいは讃歌のようで、まさに浄化されるような心地になります。(ちょっと危ない発言のように思われるかも知れませんが、本当にそんな感じなんです…)

しかし、それだけで終わらないのがアイうたです。シオンがAIであるということ、サトミたちと交わした友情、そして彼女が最後まで明かさなかった『秘密』が交差して物語はクライマックスへと向かいます。ここはネタバレなので詳しく言えないのですが、今までに語られた全てのことが重なり合ってフィナーレを迎えた後には、きっと幸せな気持ちになっていることでしょう。(私がそうでした!)

 

 

その他、気になる・注目ポイント

今までに書いた部分の他にも、たくさん注目して欲しいところがあったりします。

アイうたではサトミたち高校生サイドとは別に、サトミの母である美津子たちホシマの大人サイドの話も描かれるのですが、こちらもしっかり考証された会話をしていたり、複雑な心境を垣間見ることができます。大人たちが『きちんと』しているのが良いのです。

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左の女性がサトミの母・美津子

そしてキャストの方々も豪華です。前述した土屋太鳳さんをはじめ、メインキャストに福原遥さん、工藤阿須加さん、興津定行さん、小松未可子さん、日野聡さんを起用しています。多方面で活躍している方々も多く、それぞれ個性豊かなキャラクターたちに命を吹き込んでくれています。(というか、キャストの皆さんの誠実さや芯の強さなどがそのまま表れているみたいです!) 

サブキャラクターにも大原さやかさん、浜田賢二さん、津田健次郎さん、堀内賢雄さんなどが声を当てられています。(特に大原さやかさん演じる美津子のとあるシーンの迫力が凄いです…)また、ゲストとして担任の先生役にメイプル超合金カズレーザーさんが出ていたりします。(はじめ全然気がつきませんでした!)

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メインキャストの6名

 

伏線の張り方や要素の見せ方、セリフの言い回しも工夫されています。劇中劇『ムーンプリンセス』がいたるところで出てくるのですが、これに注目すると…となるかも知れませんね。『あのシーンはここに繋がっていたのか!』みたいな驚きや発見がアイうたには溢れています。セリフ一つとっても無駄がなく、忘れられない名(迷?)台詞や、日常で使えるようなフレーズもあったりして楽しいのです。(笑) (実際、アイうたファンは作中に出てくるセリフをよく使ってたり…)

 

個人的には、美術背景もちょっと見て欲しかったりします。基本的にアイうたの舞台にはモデルがあるのですが、そのモデルとなった場所と作中の場所を比べるのが面白かったりします。特に、景部高校のモデルである高校があるのですが、実は私はそこの関係者という立場です。(元々、アイうたを観た根本的な理由はこれだったり…) 作中で描かれた高校はまさしく現実と同じすぎて、そこだけで感動してしまったくらいです(笑)(そしてクレジットの撮影協力でまたじんと来る)

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アイうたの主な舞台・景部高校

他にも…光と影の描写が煌びやかで、映画館の暗い中で見ると本当に綺麗なんです。とか。

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さらに、生き生きとした表情やアニメーションも魅力ですし、BGMも素敵で…とにかくいろいろな注目ポイントがあります!

 

 

観ないで、後悔したくなかった

(ここから若干自分語りです)

ここまで褒めてばかりですが、実際褒めるところの方がずっと多いんですよね。今まで綴った言葉は、全部自分が思ったことです。よりわかりやすく伝わるように、少し書き直したくらいです。 

 

それでも、最初は期待半分不安半分でした。元々アニメーション映画はよく観るのですが、オリジナルかつ青春群像劇というジャンルはあまり気にしていなかったんですね。どちらかというとファンタジーやSF(当時はアイうたをSFとはあまり捉えていなかった)が好きなんです。

正直、舞台が自分と関係していなかったら観なかったと思います。というよりも、そもそも『接点がなかった』かも知れません。一時期TVでも予告編がやっていましたが、『面白そうだけど、映画館に観に行くほどではないな』という感じです。また、自分が学生の恋愛要素や陽気なノリ(伝わるでしょうか…?)をあまり好んでないのもあって、『どうせカップル成立してはいはいみんな良かったねハッピーエンドでしょ』みたいな荒んだ思考をしていました。(ごめんなさい…)(ある意味間違ってはないかもですが…(笑))

 

それでも、観に行ったのはやはり気になっていたからだと思います。ずっと喉の中に小骨が刺さっているような、心の底で引っかかっているような、そんな感じです。観に行けてないということが、ずっと気がかりだったんですね。

そこで一度、TVで流れていた予告編を思い出したんです。BGMは『Lead Your Partner』でした。『そういえばあのシーンの子(シオン)の表情が良かったな』とか、『音楽が自分の好きなタイプだな』とか。そうやって考えたのち、今まだ上映してるかなと思い、サイトを開いたところ、もう数えるほどしか上映館がなかったんです。(昨年12月)

『これはもう行くしかない!』『ここで行かなきゃ絶対後悔する!』と思い立ったのが12月15日。一番アクセスが良かった新宿ピカデリーへ行きました。

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新宿ピカデリーにて

始まってからは次の展開を注意深く探るような、ある意味おっかなびっくり(?)な感じで観ていたと思います。最初のあれはなんだろう…曲凄いな…実はそんなに恋愛要素ない?…など、いろんな考えがぐるぐる頭を回っていました。所々心を動かされる場面がありつつも、後半で『常識的に考えてそんなことしなくない?』みたいなことを思ったりして、とにかく頭を使っていました。あくまでも淡々と、作品を飲み込むような気持ちです。

だけど、終盤に向かうにつれて、『あれ?これ面白いのでは?』と思い、そしてシオンのためにサトミが…… (ネタバレです)…というところで疑いが確信に変わりました。感情が一気にぐちゃぐちゃになって溢れ出たのです。『ヤバいヤバいヤバい、これめちゃくちゃ面白いやつだ!!』みたいな言葉が頭を満たして、観終わった後はただただ余韻に浸って呆然としていました。その呆然とした頭のまま、気がついたらパンフレットが手にありました。

 

それから1ヶ月後、私は立川シネマシティで行われた吉浦監督のトークショー付き上映に行き、それだけでは飽き足らず先日またシネマシティで3回目を観ました。アイうたは1回だけじゃ処理しきれないんです。2回目以降も見ることで今までの全てが繋がるような感覚になるんですね。

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立川シネマシティにて

私は個人的に、『作品を観ないまま批判をしない』と心に決めています。観ないでとやかく言うのはお門違いだと思っているからです。今なら、自信を持って言えます。『アイうたは、いいぞ。』と。

 

 

アイの歌声を聴いて

アイうたを観てから、私はTwitterを(そしてブログを)始めました。元々Twitterはやろうと思っていたのですが、アイうたが大きなきっかけになりました。この感情や感動を、どこにぶつければ良いのかわからなかったのです。

そして自分と同じような人たちが、Twitterには、ネットには、大勢いました。アイうたの好きな場面をあげる人、素敵なファンアートを描く人、二次創作小説を綴っている人、アイうた愛に溢れた人たちがそこにはいました。

私が気づいていなかっただけで、あるいはみる勇気がなかっただけで、この作品に心を動かされた人がたくさんいました。きっと、その人たちも一緒なのだと思います。『アイの歌声を聴かせて』という作品を、より多くの人たちに見て欲しい。そして、幸せになって欲しいという思いです。

 

『アイの歌声を聴かせて』には、そんな力があります。観た人を幸せにし、周りの人を幸せにし、そしてその幸せを広めようとしたくなる力です。

 

だからぜひ、観に行って欲しいのです。もちろん、今の状況や地理的な都合により観に行けないという方もいるというのは分かっています。それでも、私はこの作品を通して『映画は映画館で観るもの』だと実感しました。もし迷っている方がいたら、その背中を押してあげたかった。そしてこの思いを、誰かと共有したかったんです。

 

 

結びとして、吉浦監督のコメントを引用させてください。

楽しい映画を創る。
当たり前なことのようで、でも言葉にすると少し照れがあって。たぶん、その本質は簡単じゃないけれど、何よりも大切なこととして心に刻まれました。

たとえ楽しさが人それぞれだったとしても、それでも沢山の人が楽しいと思える映画を創ろう。そしてその楽しさは、何よりも自分自身の内から湧き出てくるものを信じよう。 こうして、今まで生きてきた中で、心の底から楽しいと思えた瞬間を思い出しながら物語を描き始めました。これが本作『アイの歌声を聴かせて』のスタート地点です。

スタッフ|映画『アイの歌声を聴かせて』公式サイト|2021.10.29 ROADSHOW

『アイの歌声を聴かせて』は、心の底から楽しくて、笑顔になって、幸せになれる作品です。

それを私が保証します。アイうたに魅了された人たちが、上映を続けて(はじめて)くださっている映画館の方々が、スタッフさんが、キャストの皆さんが、たくさんの人たちが保証しています。

 

だから、私はこのブログを書きました。

もしこれが、これから観ようと思っている方、一度しか観ていない方、何度も観たよという方、全ての人にとって何かの手助けや参考になったのなら、幸いです。

 

 

 

 

最後にもう一度、きかせてください。

 

 

 

 

"みんな! いま、幸せ?"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめましてのご挨拶

はじめまして!マナと申します。本ブログを閲覧いただきありがとうございます!

長文を書きたくてブログを始めることにしました。

アニメ/マンガ/ゲームなどのサブカルをはじめ、版権作品の感想/妄想/考察etc.をひたすら書いていきたいです。出来るだけ理性を保った文を書きたいと思いますが、多分ダメだと思います。オタク的なノリがかなり強いとは思いますが、それでもよろしければ見ていただきたいです〜。

ゆるくマイペースにやっていこうと思うので、更新は不定期です。書きたい時は1日にいくつも更新するかもしれないし、さまざまです。

また版権作品のことだけでなく、創作に関することや雑談も混ざるかも知れないです。まだどうなるかわかりません。

自由にコメント下さって大丈夫です。一緒に作品を楽しみましょう。

よろしくお願いします!!

 

2022.02.05.マナ

 

 

 (※ブログ🔰&色々試行錯誤しながらの運営のため、デザインや内容が予告なく変わっていたりするかもしれません。
また表示のズレやデザイン・レイアウトが崩れていたりするかもしれません。もし改善点やアドバイスなどありましたら、こちらの記事のコメントにその旨を寄せていただけるとありがたいです!!🙌)